Conformal Cooling 設計技術の高度化

応用技術01

7:射出成形する際の冷却プロセス重要性の基本を理解しよう

最適なコンフォーマルクーリングチャネルを設計していく上において、設計者は
冷却不足による不具合や冷却時間によるファクターを基本的に理解しておく必要がある。
冷却プロセスにおける一般的な問題点として

  • ヒケ
  • 反り
  • 長い成形時間(長い冷却時間)

の3点が代表的な問題として挙げられる。(図10、図11参照)

図10 ヒケ、反りの現象イメージ

図10 ヒケ、反りの現象イメージ

図11 成形サイクル内の冷却時間の占める割合

図11 成形サイクル内の冷却時間の占める割合

特に成形品質に顕著に影響するヒケ、反りは、不均一な体積収縮差によるものが多く

  • 保圧力の差
  • 金型温度分布=徐熱能力の差
  • 繊維配向の差

の問題を設計段階で予測し、予め解決策を施すべきというのが重要な視点である。

また長い成形時間(長い冷却時間)は、実際の量産性能を落とす結果にもなり生産コストに悪影響を及ぼす、よって金型内の冷却設計を最大限にすることを常に念頭に置き型設計を進める必要がある。

8:コンフォーマルクーリングチャネル設計の実事例から学習

7章まで、基本的な内容を記述して参りましたが、本章では設計実例から皆様と考察をしていければと思います。
本実例は、ペットボトル用のプリフォームゲート付近の熱蓄は、従来工法での冷却時間を短縮することは限界にあり、コンフォーマルクーリングチャネルを配置し改善を図ろうと取り組んだものになります。(図12参照)

図12 ペットボトルプリフォームの実例

図12 ペットボトルプリフォームの実例

従来工法でのゲートブッシュ入子も、ネジ締めタイプの部品分割方式で製作されており、図13のAのような水管が既に配置されており、顧客側では最大限の冷却努力をしている状況からの評価開始となっている。

図13 ペットボトルプリフォームゲートブッシュ内の3種類水管比較

図13 ペットボトルプリフォームゲートブッシュ内の3種類水管比

当社は、図13に示すB案とC案を以下の視点で設計をした
B案は、従来方式の水管より、さらにゲート付近に水管を近づけて設計した方案
C案は、ストリームライン方式で同様にゲート付近に水管を近づけて設計した方案

さて
読者の皆様は、このB案、C案のどちらがどのように効果があるか明確に説明できますでしょうか?

この解析評価比較結果から考察し、さらに探求をしていきたいと考えています。

図14の成形条件表の記載通り、従来工法は2.2秒の冷却時間で成形品質として満足されるプリフォーム成形品を量産できております。
その際のゲート付近蓄熱部の固化率が、50.4%(図16参照)、平均温度が215.1℃(図17参照)になっております。

図14 ペットボトルプリフォーム 解析条件

図14 ペットボトルプリフォーム 解析条件

図15 解析に利用した水管形状

図15 解析に利用した水管形状

図16 従来工法と同じ2.2秒でのゲート付近の固化層比率

図16 従来工法と同じ2.2秒でのゲート付近の固化層比率

図17 従来工法と同じ2.2秒でのゲート付近平均温度

図17 従来工法と同じ2.2秒でのゲート付近平均温度

これに対し、B案は固化率が、50.7%(図16参照)、平均温度が213.2℃(図17参照)と
なっており、さらにC案は固化率が、53.5%(図16参照)、平均温度が210.2℃(図17参照)という解析結果が算出されています。

読者の皆様方は、B案が一番冷却効率が良いのでは?というお考えをお持ちの方も結構居られたのではないかと考えますが、図18の冷却速度ベクトルを比較するとC案の方が従来品A、或はB案よりも高いことが解ります。

図18 冷却速度ベクトルの比較

図18 冷却速度ベクトルの比較

従来品AからB案のようにゲート付近へ冷却回路を広げても冷媒は思うほど効率よく流れない、言い換えれば回路はやはり蓄熱部からの徐熱を促進する為に冷媒そのものを蓄熱部近くへ誘導し、さらに速度ベクトルを落とさずに(滞留部を極力なくす)効率よく流すことを考えるべきということで、正しい答えはC案ということになります。

ちなみに図19の冷媒の流線を比較するとC案がゲート近傍に一番近い箇所を流れているのが解ります。

図19 流線の比較

図19 流線の比較

これらをもとに、従来工法で成形品質として保証されている2.2秒の冷却時間に対してゲート蓄熱部近傍の平均温度215.1℃に対して、B案、C案での冷却時間を予測すると図20グラフの通り、B案が0.2秒短縮の2.0秒、C案が0.5秒短縮の1.7秒という結果になることが予測されますが、これで諦めないというか、どこまでも探求していこうというのが、OPMLab当社の文化でもあり、さらに短縮できるかどうかを次章で読者の皆様とさらに探っていきたく思います。