金属3Dプリンタの世界動向

金属3Dプリンタの世界動向

第1回コラム:開発資源と資金力の関係(一部上場企業/メーカとしての覚悟)

お陰様で当社は今年度で創業13期目に入りました。
ご存知の通り創業から金属3Dプリンタ技術一色で事業を行って参りました。
『よく今日までやってこられた』と今でも奇跡だなと思い起すことが結構あります。
でも必死であったことは間違いなく、休日は取れず、会社での寝泊りは当たり前、3日間徹夜でユーザ要求に応えるために努力をしたが全く成果が出ず、朝一の飛行機で韓国ユーザに謝りに行くつもりが、疲労困憊でまっすぐに歩くことさえもままならず大きな商談をロストしたこと、海外ビジネスが急速に増え年間の半分以上を海外で過ごさないとならない時期が続き、無茶をして中国〜香港〜台湾〜アメリカ〜シンガポールと強行スケジュールを組んだが、寒暖の差が大きく帰国直前のシンガポールで体調を壊し1週間入院/安静と大量の点滴を現地病院で受けざるを得なり帰国できなかったこといろいろと痛い思いでもあります。

さてコラム本題に移りますが、第1回は開発資源と資金力の関係です、ソディックグループに入る前は資金力が乏しく、やりたい開発が出来なくて限られた範囲での研究開発となり『この開発が出来れば技術が飛躍的にアップするのに』と日々考えていました。
ご承知の通り、OPMラボはベンチャーから立ち上げた会社ですから開発資金は、ベンチャーキャピタルから調達するか、銀行融資等々になります。調達できる資金は決して潤沢ではなく、すぐに儲けにつながる視点での短期的目線の研究開発、商品開発になりがちで長期的視点の開発を行うことが非常に難しかった実情があります。

金属3Dプリンタ技術の研究開発項目というのは

  • 基本工法/アルゴリズム開発
  • 金属粉末材料開発
  • ソフトウエア開発
  • 装置/制御開発(レーザ/光学系/切削全てを含みます)
  • 設計手法開発
  • キラーアプリケーション開発等々

開発すべきアイテムが非常に多く多岐に渡り、ベンチャー1社で対応出来うるものではありません。(※複合加工の場合は極端にパラメータが多い)
創業当初からこの状況が解っていたか?というと正直なところ解っていませんでした。
技術そのものが未成熟で黎明期にあったこともありますが、製造過程で起こる現象/事象/問題点が発生するたび、パナソニック様やその頃タイアップしていた装置メーカ様と解明作業を都度の検証と対策をしていたのが実情です。

現時点、ソディックグループに入り、開発資金面や開発環境は潤沢になり地に足をつけて、短期/長期的両方の視点で研究開発に邁進できるようになりました。
例えば、造形速度アップ開発をする為には、数多く繰り返えさなければならない実験を考慮しても数台程度の開発専用機では不足します。

新材料開発を考えるならば、材料種類毎に専用機として装置環境を揃えなければなりません。成分の違う材料を乗せ換えて交互に開発をするなんて効率が悪くできませんし恒久的にユーザサポートする限り、レーザ条件は最適化を続けなければなりません。

装置性能を向上/改善しようとするなら、複数機で同時にラッシュテストしスタビリティ/再現性を確認しなければなりません。

開発(装置)メーカとしては、相当な台数の開発機を用意して、必要に応じてスピーディに開発/検証機を新たに準備できる体制と資金力がなければ戦えないです。
ソディックグループは唯一、それらが実行可能な資金力と決断の速さがあると言えます、現時点も多くの開発機が研究開発加速のため稼働してます。
先日あったことですが、急遽さらに開発/検証機増設をしなくてはならず2日程度で稟議申請から決済され、2週間後には機械が完成し実験を開始できるというのは素晴らしいと考えます。

続いて金属3Dプリンタの主要国装置メーカ(プレイヤー)という観点から考察すると昨年度集計した主要国装置メーカ(プレイヤー)を集計したものが以下の図になります。
Powder bed fusion type装置メーカを国別(横軸)/メーカ数・対応サイズ(縦軸)に別けています。

図1:金属3DPの世界主要装置メーカ数と動向

図1:金属3DPの世界主要装置メーカ数と動向

簡単に解説すると『14社の装置メーカ』が世界各国にありますが、規模の大きな会社及び我々が競合と考えるメーカ数は、数社となります。中国にもメーカはありますが実態が不明なことや市場でほとんど聞かないことを考えると競合にはならないと考えられます。
この中でも、ソディックグループの規模/開発体制は間違いなくトップと予想できます。我々は装置メーカとしては後発ですが、例えるなら大型ブルドーザーでなき道を徹底的に切り開く開発力と資金力があり、全ての開発項目がグループ内で利害関係なしで完結できることが大きな利点でもあります。過去の経験から国プロなどで企業連携を実施し開発するとビジネス段階では利害関係が複雑になり、うまくいかなくなり行き詰ります。

次に図2は、今後の金属3DPの世界市場と動向(出所:ローランドベルガ―)になります。あくまで独自予測となりますが、2018年度は633~800台/年、2023年度は982~1200台/年世界市場に推移していくと考えられます。(※金属3DPのタイプを問わない)
さらなる装置コスト削減を行いながら、速度アップが必須事項で算定されています。

図2:金属3DPの世界市場と動向※市場分析(販売予測)

図2:金属3DPの世界市場と動向※市場分析(販売予測)

市場ニーズの視点では、金属3Dプリンタで製作された部品の精度保証ができなければ使えないということをユーザが気づき、単に複雑なものが自由に作れるだけでは実用に耐えないということが明らかになってきています、複合方式(切削有)でないと使える範囲が極めて狭いということです。数年中には、淘汰され世界地図が塗り替わるはずです。

纏めの言葉ですが、我々は本気の開発とビジネスに覚悟を持って挑んでいます。
現時点、詳しくは語れませんが11月に開催されるJIMTOF2016をどうぞご期待下さい。