金属3Dプリンタ技術開発の最新事例や研究成果などを配信します

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第2回
金属3Dプリンタは高精度な加工が出来なければ相手にされない時代と海外勢の苦悩

当社の切削付きの金属3DP(以下OPM工法)は、欧米のレーザのみの金属3DP技術と良く比較をされます。
世界的にも認知度が向上し、欧米製のレーザのみ金属3Dプリンタ技術と比較し、OPM工法は切削機能がついていることが一番大きな違いであることを多くの方々が理解をされていると思います。しかし毎日実務で使っている私どもにすると、もっと多くの特徴や違いがあることをこのレポートにて報告をしたいと考えております。
結論から先に申し上げると、OPM工法でアウトプットされる造形品(部品や金型等々)の精度は他社金属3DPのものと比べると全く別物と考えて頂く方が良いかと思います。
金属3DP技術は従来できなかった複雑な形状創成が可能とされていますが、形は出来ても要求される寸法精度の達成、及び設計通りの正しい内部構造にて機械強度/性能が保証されているかは装置内で正しくインプロセスとして処理されているかで決まります。

最初に、Fig1欧米製金属3DPとOPM250/350Lの段取り精度の違いをご覧頂きたい、欧米製金属3DプリンタとOPM工法の装置内でのベースプレートセットの比較工程を表しています。

Fig.1 欧米製金属3DPとOPM250/350Lの段取り精度の違い

欧米製金属3DPは、最低2面(表/裏面)の平行が出ていれば、ワークテーブルにセットするだけでプロセスが開始できます。目視レベルのできるレーザポインティング機能はあるようですが、取付座標や平行度を数値測定しフィードバックする機能はありません。理由は単純でNC制御装置にてコントロールされている訳ではないからです。ベースプレートはある意味、“ただの台座”としての取り扱いとなります。

それに比べOPM250/350Lは、工作機械のマシニング装置同様に“頑強な鋳物構造”上にレーザ及び光学システム、NC制御装置を搭載しています。
段取りのプロセスを考察すると

  • ベースプレートは、6面をフライスで仕上げたものを使います。(精度指定します)
  • 取付時には、主軸を操作しダイヤルゲージで平行度を測定します。
  • レーザ走査線の照射順序最適化
  • 主軸にポイントファインダーを取付てベースプレートの取付位置を機上計測します。
  • 完成した造形品もポイントファインダーで機上計測し精度達成の可否を検査します。

ベースプレートを取り付ける時点から厳密な精度でレーザ/切削プロセスが開始されます。
誰もがこの時点で理解をされたと思いますが、段取り時点からコンセプトが違うのです。
個人的な例えで申し上げますと、欧米製金属3DP(M3DP)はレーザ及び光学系を起点に装置構造を考えた言葉通りのプリンタなのだと思います。装置フレームも溶接シャーシ構造となります。
OPM250/350Lは工作機械上にレーザ及び光学系を搭載して精度を重視した“金属3Dマシニング(M3DM)”と言うべきかと考えています。製造業では精度が確保できない部品は受け入れられないと思いますので、今後、製造業に根付く基幹の金属3DP技術としてはOPM工法に勝算ありと考えています。

次にOPM工法からアウトプットされる金型/機械部品加工方式にも3パターンがあります。
Fig.2 OPM工法の加工方法選択肢をご覧頂くと

・Type A 装置内でレーザ及び切削を繰返し、全切削肌にて金型/部品を加工する方法
・Type B レーザでニアネットシェイプ部品まで作り装置内の切削機能にて上から一発で金型/部品を加工する方法(※工具有効長が届く範囲のものに限定されます)
・Type C レーザでニアネットシェイプ素材まで作り、別の一般加工機に載せ換えて行う為の測定用基準面(切削面)を付加して加工する方法

があり、ユーザ用途や納期、コストを考慮した上、最適な選択をすることができます。
全く同じ形状で比較をすると、コスト及び納期ともTypeC < TypeB < TypeAと
なります。しかし我々の最大のテーマは、OPM工法のTypeA(全切削)が、コスト/納期とも従来工法を凌駕することを目標に研究開発を加速してきました。
JIMTOF2016展示品では、この研究成果を実現しましたので是非、お越しください。

Fig.2 OPM工法の加工方法選択肢

話を戻しますが、現在、私どもには世界各国から金型/部品の受託加工依頼が相次いでおります。当社はOPM250/350Lで完成した金型及び部品へ2次加工を社内で行い、お客様の精度要求に合わせた最終製品として出荷することも重要な業務としております。
当社で2次加工が対応出来ない場合は協力企業へもお願いもしますが測定基準や加工開始基準がない状態の造形品を2次加工業者は、絶対に受けて頂けません。理由は加工ミスのリスクが高い博打のような仕事になるからであり、最低でもTypeCのような造形+基準面(切削)での依頼が必須条件になります。

Fig.3及び4精度に対する基準面の重要性①、②を参照下さい。

Fig.3 精度に対する基準面の重要性①

ベースプレートの6面をフライスで仕上げていたとしてもレーザで焼結した造形物はプレート中心にはあるとは限らない。
理由はガルバノミラーから折り返し照射されたレーザ走査位置にも誤差がありプレート側面から測定しても正しい中心座標は拾えない。よって造形物の側面等に切削をして測定基準面を作る必要がある。

Fig.4 精度に対する基準面の重要性 ②

基準面作成方法としては複数あります。代表的なパターン2種(上記)を紹介すると
 ・造形物製品面上に切削機能にて仕上げるケース(Image.1)
 ・造形プレート側面(Image.2)があります。
当社は条件により各々の方法を使い分けていますが一番大切なことは造形物を機械から外す前に基準面を仕上げておかないといけません。欧米製金属3Dプリンタでは切削機能がないため基準面作成は不可能なため、高精度部品を作ることが難しいことは誰もが理解頂けるかと考えます。

丸棒や立体や円錐などの単純形状ならば加工代を一杯つけておけば2次加工で仕上げることは可能ですが、無垢から作るのと時間はほとんど変わらない、コンフォーマルクーリングチャネルなど厳密設計している内部構造の位置関係は保証できないということなどは言語道断です。

実務では、最低でも寸法精度は±2~3/100~高いものだと1/1000もあり公差緩和をお客様と交渉をしながら業務を遂行している我々にしてみると、TypeCのような造形物に基準面(切削面)が作れない欧米製金属3DPは(一部の超大手を除いて)精度を要求される製造産業向きではなく、デザイン/オブジェ業界及びインプラント、人工歯根などの医療の業界向きであり、間違った選択をしない方が良いと日頃から提言をさせて頂いております。このことに関しては、お客様の認知度も高まり、製造業ではかなり浸透してきており、世界の主要金属3DP業界のプレイヤーにとって頭の痛い指摘事項となっているかと考えられます。しかし私は適材適所があると常に申しあげており共存共栄の精神で金属3DP技術が進化し昇華していければと願っています。勿論、お客様の用途次第であることを付け加えておきます。